最近、Facebookが社名を「メタ」に変えたそうだが、私がFbアカウントを「卒業」して早4年。
ほんとに、いろんなことがありました。そしてあの頃からは想像できないくらい、日本も世界も一変してしまいました。
でも、こんな時だからこそ「原点」に立ち返ろうと思いました。
自分の立ち位置を再確認し、しっかり両足で踏ん張るために。
今日は自分の原点となった作品「古事記カード絵本」を作り出す過程において、背中を押してくださった方のひとりである、ある先生のことをお話ししたいと思います。
先生にお会いしたのは後にも先にもこの時一度限り。講座後に先生と交わした言葉の最後に投げかけられた「日本を頼んだぞ」という言葉は、今も忘れることはありません。
これは今から9年前の夏のお話です…
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先日、3年ぶりにほんの2時間ほどですが夜間に一人であるカフェへ出かけました。
なんでも、イベントの主催者である店主が、その夜そこにいらっしゃる先生のお話は、私が今していることとすごくつながりがあるので、ぜひお越しくださいと熱心に誘ってくださったのです。
現れた方は、古代史研究家、鳴門渦潮高校の林博章(はやしひろあき)先生。
内容は、阿波忌部(いんべ)と麻と日本建国の深いかかわり、そして、この歴史の中にこそ日本再生の鍵(かぎ)があるという非常に興味深いお話でした。
正直、知りませんでした。
太古の昔、徳島の阿波忌部と讃岐忌部が連合軍を作り、中国、近畿、関東地方など日本各地に麻の種を持って散らばり、麻文化を通して現地の人々と助け合い大和朝廷へと繋がるこの国の基盤を築いていたことを。
そして、本来、麻はとても神聖なもので魔よけの力もあると信じられ、日本では12000年も前のはるか昔から衣・食・住すべての面において使用されており、日本人にはなくてはならない大切な植物だったということを。
しかし、現在では大麻(たいま)取締法により麻に対するマイナスイメージが浸透し、縄文時代から連綿と続いてきた麻産業が絶滅の危機にあるそうです。
祖国の伝統文化を知らず、自ら否定するなんて日本人はそれで幸せになれるのでしょうか…
「麻は自然と人間との仲介役であり、日本人のいのち。麻文化の終わりは日本の終わりを意味する。今こそ、阿波忌部の”粟結び精神”と彼らが全国に伝承した麻文化の伝統を我々が継承していかなければならない。そして、そこにこの混沌とした世の中にある現在の日本の再生に対する鍵がある」というのが先生のメッセージでした。
昨年未曾有の大地震を経験し、関東やその付近では食べるものに神経質にならざるを得ない状況がまだ続いていると聞きます。
戦後60年を過ぎ、高度経済成長やバブルを経験し、資本主義、個人主義を前面に打ち出して発展してきたアメリカに「追いつけ追い越せ精神」でやってきたこの国は今、大きな方向転換をするべきときに来ているのではないでしょうか。
先生のおっしゃる「日本再生」を実現する一策としてやはり歴史から学ぶ、自然を正しく恐れ崇拝するという古来、日本人が持っていた謙虚な姿勢を忘れてはならないと思います。
わたくし自身も、日本神話や国史を学ばなくなったこの国の行く末を非常に案じていますが、ただ何もしないのではなく、少しでも行く先を変えられるように、志を持って自分のできることをやっていこうと考えています。それが日本人として、そして人の親となった自分の使命だと信じています。
帰り際に林先生に「日本を頼んだぞ」と送り出され、私は先生に背中を押していただいたような気がして胸がいっぱいになりました。
(この文章は、2012年7月19日にFacebookに投稿したものを加筆修正しました)
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この5ヶ月後に「古事記カード絵本」第1巻がようやく完成、販売となるのですが、先生にお会いしていなければ、そのパッケージデザインやカードに麻の葉模様は起用されなかったでしょう。(写真参照:カードボックス全体に大きな麻の葉模様、タイトルが書かれた中央の長方形にも縁取るように小さな麻の葉模様を使っています。また中身のカード一枚一枚にも識別マークとして使用しています)
麻は成長が早く、まっすぐ伸びる植物なので、そのように育ってほしいという意味を込めて「麻」という漢字を我が子の名前に使ったりするそうです。また麻の葉模様は現在でも、浴衣やさまざまな雑貨、日用用などにあしらわれています。意識はしていなくても、誰でも一度は目にしたことがある柄ではないでしょうか。
そもそも麻は日本人にとって、切っても切れないゆかりの深い植物です。
調べてみると日本では数少ないですが、まだ大麻(おおあさ)を育てているところがいくつかあるようです。
ご興味がある方は、ぜひ検索してみてください。
#麻文化 #忌部 #古事記 #日本神話 #麻の葉模様